コケにされたときの対応

再雇用や転職において、中高年が若い世代から軽視される場面は依然として存在します。上司ではないにもかかわらず上から目線で話しかけられたり、ミスを押し付けられたりするケースも少なくありません。中には、「中高年者は能力が低い、IT機器に弱い、仕事が遅い、判断力も鈍い」という偏見に基づいた接し方をする若手社員もいるようです。

一部の組織では、若手正社員のメンタル安定を優先するあまり、中高年を見下すような風潮を黙認しているケースも見られます。しかし、職場の高年齢者には、そのような若手社員を指導・教育する権限はありません。また、そのような社員を放置している上司も、同様の偏見を持っている可能性が高いため、コケにされたことを報告しても改善につながらない可能性があります。

私はかつて、優秀な再雇用のご先輩とグループメールアドレスを使いながら仕事をしたことがあります。ある日、若手社員から先輩へのメール返信に、軽蔑的な言葉が含まれているのを見かけました。私が「ひどいメールですね」と声をかけると、先輩は「ああ、あれね。気にしなくていいよ」と冷静に返答されました。

この「見なかったことにする」という先輩の対応は、その後の私の仕事にも大きな影響を与えました。すべての場面で冷静に対処することは難しいですが、「見なかったことにする」という心構えは、中高年が働く上で非常に重要だと考えるようになりました。

スポーツ選手のメンタルトレーニングにも、「コントロールできないことは考えない」という考え方があります。これは、「天候」「審判の判定」「グラウンドコンディション」など、選手がどうあがいても変えられない状況を気にするのは無駄であり、集中すべきは自分のプレーにのみであるという考え方です。

例えば、不利な判定を受けたとしても、審判の考えは選手がコントロールできるものではありません。試合中にそのようなことに囚われていても、良い結果には繋がりません。実際、スランプに陥る選手の多くは、コントロールできないことに囚われすぎてしまっているケースが多いと言われています。

職場においても、同様に「コントロールできないことは考えない」という姿勢は、心の健康を保つ上で重要です。「見なかったことにする」という技術は、50代後半から働く人にとって、特に必要不可欠なスキルと言えるでしょう。

タイトルとURLをコピーしました