多様な働き方の職場とそうでない職場

90年代、一人の正社員の女性が出産後の復職時に時短労働を選択したとき、職場はざわつきました。30人ほどの職場でひとりだけ早く帰る。彼女に対して「なんで早く帰れるんだ」「会社を辞めて子育てすればいいんだ」と彼女がいない裏では言われてました。定時で帰ってもいろいろ言われる時代です。多数派と少数派、普通と普通ではない、歪んだ公平性をもとめるような人たちとの対立となり、彼女は孤立していきました。

80~90年代の民間の職場では、正社員で同じ労働形態、契約形態の働く人たちで構成されていました。90年代後半から派遣社員が職場に加わりましたが、00年代後半まで多くの企業ではフルタイムの正社員と派遣社員という2つの種類の労働形態のみで構成されていました。

時が経過して、育児・介護休業法の改正が2009年にあり、その頃から年金支給の年齢が上がってからは、時短や再雇用といった様々な労働形態が同じ職場の中に見られるようになりました。

多様な働き方で構成されている職場ではひとりひとりが「お互い様」という感覚と習慣があると思います。職場の同僚の背景にあるものをお互い理解しているのです。「あの人は水曜日いないから、カバーしよう」というようなことです。「お互い様」の感覚は、多様な働き方を許容する職場の文化だと思います。多様な働き方の多い職場では90年代のような多数派と少数派というような対立は生まれません。

一方で多様な働き方をする人が少ない職場では、90年代と変わらない多数派と少数派、普通と普通ではない、歪んだ公平性をもとめるような人たちが多いようです。そのような職場では再雇用者はつらいと思います。

「お互い様」の習慣がない職場での再雇用はおすすめできません。

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