今年のはじめから、フランスでは年金改革に反対するデモが行われています。一部が暴れたり、役所に火をつけたりという映像ばかりが日本のテレビには流れます。今回の改革は年金の受給年齢を62歳から64歳への変更ですので、年金受給が65歳からの日本から、このニュースをテレビで見れば、「甘えた人々が暴れている」と理解している人も少なくないと思います。
報道内容を少し詳しく見ていくと「甘えた人々が暴れている」わけではないことがわかります。フランスには、色々な背景があって、80年代に受給年齢を60歳に引き下げていて、高齢者に優しいだけでなく、高齢者に退職を促すことで、若者の失業率を下げた社会を構築していました。厚い保証が受けられる引退後の生活は、現役で働く人たちのモチベーションになっていると思います。しかし、高齢化が進み、将来は年金の仕組みが回らなくなるというのが今のフランスの状況だと思います。(デモの原因はこれだけでなく、いろいろな事情が背景にあると思います。)
私がこの年金改革反対のデモの報道で感じたことは、このデモの規模の大きさです。参加者は1回のデモで全国で100万人とのことです。中高年だけでは、100万人規模にはなりません、全年齢層が参加しているはずです。中高年だけでなく、すべての年齢層が「自分ごと」としてデモに参加しているのだと思います。
一方日本では、昨日、地上波のニュース番組で「年金の繰り上げ、繰り下げと受給額」について取り上げていました。「○歳でもらって、○歳まで生きれば得する」みたいなシュミレーションをグラフに示していました。「損だ、得だ」「多い、少ない」という話です。年金の問題を「中高年の損得」として取り上げていました。
一部の富裕層を除き、年金制度とは人生設計の枠組みだと思います。それが高齢化が進む先進国で、ぐらついてきたのだと思います。「中高年の損得」として捉えるのではなく、全年齢層の問題だと考えるべきです。個人では、早め早めに60歳以降のことを考えるべきだし、行動にでるべきだと思います。キャリア設計を考え直す、学びで将来に備える。転職する。やれることはたくさんあります。
店を壊したり、役所に火をつけるのは良くないことですが、行動にでるという点でフランスで起きていることは、学ぶべきであると思います。
https://www.bbc.com/japanese/65284023
